湊かなえさんの「落日」を読み終わりましたので読書感想文を書きます。
湊かなえさんの作品は「絶唱」に続いて20作品目の読了です。
湊かなえさんといえば、言わずと知れた「イヤミス」です。
※イヤミス:ミステリー小説の一種で読後にイヤな気分になること。
「一家殺害」に「放火」がテーマ
今回も冒頭からそん結末の予感がプンプンとしますねっ!
主な登場人物
甲斐千尋:主人公でまだまだ見習の脚本家さん。過去に姉が事故で亡くなるという不幸もあり。
長谷部香:売れっ子の映画監督。過去にお母ちゃんから虐待に近い仕打ちを受けていた。ベランダに放り出されるとかね。あと、父ちゃんが自殺したとか。
力輝斗:沙良という名の妹を刺し殺し、両親も結果的に放火で殺害をしてしまった。死刑判決を受けた。親は妹ばかり可愛がるし、妹は性悪な感じだったらしいので1%くらいは同情の余地ありか。
所感
期待値が高かったということもあるかもやけど、もう少し衝撃的な終わり方を期待していました。
ただ、噛めば噛むほど味が出るというか最初から読み直したら、やっぱ感動はしました。
やっぱり、すごくいい内容だったと思います。
過去に凄惨な事件があって、そのことが現在とどのようにつながっていくのかを推理しながら読んでいくのは面白いですね。
長谷部香という売れっ子の映画監督が笹塚という街で起きた15年前の過去の事件を題材に映画にしたいと、突然に甲斐千尋という脚本家に依頼をしてくるわけです。
しかも笹塚という土地は千尋が昔、住んでた場所。
なんか気持ち悪いし、絶対この映画監督の長谷部香は何かを抱えてる!
と思ってしまいます。
リアルタイムに起きてる事件だと、話題性もあるし取り上げるのも理解できるけどわざわざ昔の事件を掘り起こすなんて絶対になにかありますよ!
で、冒頭のシーンを振り返っていくわけです。
香がベランダの防壁ごしに手を繋いでた人のことになるのですが、サラだと思ってたのが実は兄ちゃんの力輝斗の方だったということが分かってくるんですよね。
それがわかっただけでもなんかジーンときてしまいました。
力輝斗が本当に可哀想で辛い。
千尋も一家殺害事件とは直接絡んではないけど、微妙な感じで間接的には絡んでたり。
この事件を取り上げたのは千尋のためにも、香のためにもってことなんだなと感じました。
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