乃南アサ/しゃぼん玉

読書感想文

乃南アサさんの「しゃぼん玉」を読み終えました。

 

乃南アサさんの作品は初めて触れました。

 

自分の中で、「しゃぼん玉」と言えば、昔に長渕剛が主演したドラマを思い出すのですが、今回の本もすごく面白かったです。

 

主人公の翔人がまあヤンチャというか生まれつきの悪人って感じで目が離せない奴なんです。

 

主な登場人物

翔人:主人公。世間の常識も知らずに生粋の悪者って感じのやつ。ただ、本当は寂しいやつだったりもする。

 

 

所感

読みはじめから主人公の翔人がいきなり夜道で女性を襲ったり、トラックをヒッチハイクしてからの運転手をナイフで脅したりとまあ飛ばす飛ばす!

 

そんな翔人に突然の転機が訪れるんやけど、ふとしたことから怪我をしたおばあちゃんを結果的に助けることになるんです。

そして、そこからそのおばあちゃんの世話になることに。

 

こんなキレたナイフのような凶暴な奴でも、田舎の雰囲気であったりおばあちゃんや周りの人たちの包容力があれば変わってくるものなんですね。

 

自分も小さい頃はよく徳島のおじいちゃんおばあちゃんちに預けられてたけど、そのときの事もふと思い出したり。

 

そのあと翔人はシゲ爺という人と一緒に働いたりすることになるんやけど、70歳くらいの年齢にもかかわらず、この爺さんがまた元気なんです。

 

乱暴で強引なところもあるんやけど、それが何事にもすぐに投げ出す翔人にはちょうどいいんですよね。

 

こういったところも自分も一歩違えば翔人と同じ道を辿ってたんじゃないかと思うと、翔人が他人事ではなくすごく感情移入ができるんです。

 

そして、ミチという歳の違い女の子に恋をすることになるんです。

 

いろいろあり、罪に対しての罪悪感も出てきたりと、色んな人と人として向きあうことで翔人もどんどんと人間らしくなっていくんですよね。

 

自分の犯してきた罪ともちゃんと向き合おうと思うようにもなったし。

 

シゲ爺の「今のおめえに必要なんは、ちゃあんつ誰かに見ててもらうちゅうことじゃな。そんで、逃げん癖をつけることばい」というセリフがこの物語を象徴しているように思えました。

 

最後はほんと、感動したなぁ。

 

待っててくれる人がいるのは幸せなことなんだと改めて思いました。

 

良かったです!

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