柚月裕子/慈雨

読書感想文

柚月裕子さんの「慈雨」を読み終わりました。

 

柚月裕子さんの作品は「パレードの誤算」に続いて3作品目の読了です。

 

少女が誘拐され、殺害されるという悲しいお話です。

 

慈雨の意味は日照り続きの時に降る恵の雨だそうです。

 

ある事件を境に悩み続ける主人公。

 

この主人公は警察官としてだけでなく人としてもすごく尊敬できる人なんやけど、そんな主人公に恵みの雨は降るのか?

 

ハッピーエンドで終わるのかなと期待をしつつ読み進めました。

 

主な登場人物

神場智則:主人公。警察官を定年退職して、四国でお遍路詣りをしつつ、少女の誘拐事件に関心を寄せる。

 

香代子:智則の奥さん。おっとりとしてて、性善説の考えをもつ癒し系の人。

 

 

緒方:智則の後輩で智則を頼りつつも少女の誘拐事件を追う。

 

幸知:智則と香代子の子供。実の子ではない。緒方と結婚間近らしい。

 

所感

過去にも少女の誘拐殺人事件を担当したときのトラウマを抱えている智則。

 

自分が捕まえた八重樫という奴は実は犯人ではなく冤罪にしてしまったのではないか?

 

少女に対しての犯罪をするボンクラは同じあやまちを繰り返すみたいなんです。

 

こんな犯罪を犯すやつはワンストライクアウトでいいとは思うんやけど。

 

そんなときに、数年前に起きた事件(八重樫を犯人にした)と似たような誘拐事件が起きてしまうんですよね。

 

智則の苦悩が始まるんですよね。

 

やっぱり八重樫は冤罪だったんじゃないか?

 

とは言ってもそのことを黙っていれば、いいとは言え良心が痛むわけです。

 

本当にそんなことでいいのか?

 

おっとりした妻も悩む夫を心配して、普段は仕事関係のことには口を出さないのに、何かあったの?と声に出して聞いてしまったり。

 

自分にはやっぱりウソをつけない。

 

ちゃんと自分の誤ちを認めて真摯に対応している姿は、自分も見習わなければと思いました。

 

やっぱ、そういう人にはふとしたきっかけから真犯人に突き当たるわけなんですよね。

 

人として改めて考えさせられる内容ですごく良かったです。

 

 

 

 

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