柚月裕子さんの「あしたの君へ」を読み終えたので読書感想文を書きます。
柚月裕子さんの作品は初めて読みましたが、どの話も心に染みる内容で良かったです。
福森家庭裁判所で働く望月大地という家庭調査官補を主人公として、いろんな悩みを抱えている人と織りなす物語。
短編集みたいな形とはいえ、どの話も考えさせられるものでした。
背負う者
友里と杏奈の姉妹と母ちゃんの3人がネットカフェでずっと暮らしてるという劣悪な環境。
そんな中、友里が窃盗の罪を犯してしまい捕まってしまうのです。
たしかにお金には困ってるのですが、ネット難民生活とはいえ、窃盗をするまでではないはずなのに。
大地は友里が、急にまとまったお金が必要になったと推測。
ただ、友里の想いは切ないものでした。
抱かれる者
潤という高校生の男の子がストーカーをして捕まったお話。
ただ、この潤の家庭環境がちょっと複雑で、そして両親が別居しているのです。
譲という父ちゃんがかれこれ5年も家に帰ってないんだとか。
世間体を気にする良子という母ちゃんは、そんなことが無かったかのように振る舞ってるわけです。
あたかも普通の家庭環境を装ってて、そのことがだんだんと潤のことを苦しめていくわけです。
子供としてはたまったもんじゃないかなと思う。
これはもはや親の愛情とは違うものやと思うし。
そりゃ、ひねた行動もしてしまうよなぁ。
縋る者
大地が実家に帰ったときに学生時代に気になっていた理沙という女性と再会するんです。
大地自身は家裁という仕事に疑問を持ってる一方、理沙は離婚調停で家裁に頼ってるというなんとも皮肉な展開。
まぁ、世の中こんなもんなんですかね。
責める者
加南子さんという夫からモラルハラスメントを受けてる人のお話。
まぁ、この夫というのが、世間体はいいみたいで、内実はクソみたいな奴なんです。
そういや、つい先日リアルの世界でも奥さんに暴言を吐いてるやつがいたけど、人間がちっちゃいなと思ってしまいました。
なんだかなぁ。。
迷う者
両親が離婚することになったお話。
どっちが子供を引き取るのかの判断は裁判に委ねられることになるわけやけど、子供からするとどっちに付きたいかなんて、聞かれてもわからないと思う。
裁判で争ってる時点で両方から、たくさんの愛情は受けてるんやろうし。
この話は一波乱というかまさかの展開はあったんやけど、それもご愛敬といったところでしょうか。
ということで、柚月裕子さんの作品は初めて読みましたが、面白かったのでまた別の本も買ってしまいました!
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