宮下奈都/静かな雨

読書感想文

宮下奈都さんの「静かな雨」を読み終わったので読書感想文を書きます。

 

宮下奈都さんの作品は「羊と鋼の森」に続いて2作品目の読了です。

 

しかも今回は宮下奈都さんのデビュー作です。

 

話自体は短かったのですが、初々しさも感じられて読んでて楽しかったです。

 

 

主な登場人物

行助:主人公。働いてた会社がつぶれて別の場所で働いてたときに、とあるパチンコ屋の近くのたい焼き屋さんで、こよみさんと出会う。基本優しい性格だが、ときどきアカン思考回路になってしまったりする。

 

こよみ:たい焼き屋さんで働く癒し系の女性。ただ、交通事故の影響もあって、その後遺症で起きた出来事に対しての記憶が出来なくなってしまう。

 

 

所感

事故が原因で、高次脳機能障害ということで物事の記憶ができなくなってしまったこよみさん。そしてそのことも分かったうえで、末永くお付き合いすることを決めた行助。

 

ただ、思ってた以上に現実は厳しくて、お互いもどかしく歯がゆく思うことも出てきて、時には行助もこよみさんの記憶が無くなるのをいいことに、いけずなことをしてしまったりするんですよね。

 

でも、その思考や行動が生々しいので、なんともいたたまれないというかなんというか。。

 

昨日におきた出来事も忘れてしまうのは本当に辛いと思う。

いずれ、行助自身のことも忘れてしまうんやろうか。。

そんな不安もあると思うし。

 

それでもやっぱり行助はこよみと一緒に暮らしていくことを心に決めるわけなんですよね。

 

最後の月の光を見ながらの二人の心情を読んでると本当に感動してしまいました。

 

現実は難しく辛いんやけど、そんなことも感じさせなかったりも。

 

印象に残ったのは積み重なった記憶が人間を形成していくみたいな文章があったところ。

 

自分自身思い返せばそうかもと思う。

 

記憶が形成されないこよみはどうなっていくのか?

 

きっと、行助と共に過ごしていく時間がこよみを強くしていくんだろうなと思います。

 

考えさせられる本当にいいお話でした!

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